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noise pop

生活

フェスに行ってもそこまで楽しめない人この指とまれ

僕の家に遊びに来たことがある20数名なら知ってると思うけども、インテリアの一種として壁にレコードが二枚貼ってある。Out Coldの「Live In Amsterdam」というハードコアバンドのライブ盤と、The Tinklersの「Crash」というアルバムだ。Out Coldの方はもうパッと見て「あー激しそうね」とか「あーボーカルがジョーストラマーに似てるわね」という感じがビンビンに伝わるけれど、The Tinklersの方はなんだかよく分からない。まずバンド名がなんと読むのかも分からない(ティンクラーズと読むらしい)。


これは大学時代に所謂「ジャケ買い」という一種のギャンブルに乗っかって買った記憶がある。そこから特にあまり聴き込まず、そのまま壁の肥やしにされてしまったという、なんとも悲しい過去を持ったレコードだった。なんでそんな危ない橋を渡ったのか覚えてないが、とにかくジャケットが良かった。絵の具で描かれた夕暮れの森を鹿と車が歩いているというもので、「多分これは俺の好きな奴だ」と根拠もクソもない直感でレジに持っていった。あと安かった。とにかく安かった。


この間いらないレコードを売りに行くために色々と整理をしていて「そういえばこれどんな音だったかな」と思い、数年ぶりに壁から外して針を落とした。
スピーカーから流れてきたのは、脱臼スレスレのあまりにもゆるすぎる世界観を構築しているようなおっさんの歌声だった。今にも牧草の匂いがしそうな原っぱで、ギター一本で仕事の畑仕事の合間に歌っている、そんな風景が思い浮かんだ。ちなみに彼らは二人組のフォークポップデュオらしい。その二人の絶妙な掛け合い(ハモリ)も相当破綻している。息があってるのかあってないのか分からない。でもそんなことはどうでもいい。彼らの顔をご覧なさい。こんなに楽しそうじゃありませんか。僕らに彼らを止める権利なんてない。気の済むまで歌わせてやろうじゃないか。


だけどこのレコードの横に数年間飾られていたのが、血管ぶちきれそうな超絶ハードコアバンドのレコードだったというのもおかしな話だ。このおっさん二人組は孤独だったのだろう。僕はそっと壁からレコードを外した。そこの部分だけ綺麗に壁焼けしていた。

Crash

Crash