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noise pop

生活

死霊の盆踊り

酔っ払うと正確な判断や思考ができなくなる。先週の土曜日もお酒を飲んで、いつになくほろ酔い気分で家路に着いた。若干の吐き気を抑えつつ、妙なハイテンションで電車に揺られている自分は、周りの人たちの目にどのように映ったのだろう。別に聞きたくはない。


帰宅してすぐに寝れば良かったのだけれど、テンションはいつになく高い。「普段できないことをしよう」と思い立ち、最寄りのゲオでDVDを借りてくることにした。風が夜の静寂を切り裂く。そんなロマンチックな中学二年生なことを思いつつ、僕は「死霊の盆踊り」を借りることにした。死霊の盆踊りである。間違っても「死霊のはらわた」ではない。


自分の中には「見たくても見れない映画」というものがある。「ダンサー・イン・ザ・ダーク」「ビフォアサンライズ」、そして「死霊の盆踊り」である。「ダンサー・イン・ザ・ダーク」は主人公(ビョーク)に救いが全く無い映画であるため。「ビフォアサンライズ」は作風が自分に全く合わないため。そして今回の「死霊の盆踊り」は、単純に言うと「めちゃくちゃつまらない映画」であるため。これだけだ。


「全米が呆れた」「究極のZ級ホラー」「店員がおススメしない映画ナンバーワン」


と言った聞いてて悲しくなるようなキャッチコピーしかない。だけどしょうがない。本当につまらないのだから。いや、ただつまらないだけならまだいいのかもしれない。この映画は制作陣から驚く程の「やる気のなさ」が伝わってくる。もう監督もスタッフも途中から「よーし、ここまで来たら俺らで前代未聞の映画撮っちゃおうぜ!」と気持ちのベクトルを切り替えたのではないかとすら思ってしまう。そこら辺の大学生が卒業制作で撮った映画の方がしっかりしてるのではないか。


ストーリーは、小説家の彼氏とその彼女が墓場にネタを探しに行くところから始まる。彼らは夜の誰のいない道をドライブしている(なぜか引きの場面になると午後の昼下がりの風景になる)。そこで馬鹿な彼氏は彼女を怖がらせようと無茶な運転をし、結果事故にあって墓場に放り出されてしまう。目が覚めると「闇の帝王」というカンペを見ながら台詞を話すオッサンが現れ、「死霊たちの宴が始まるのだ!」とカンペを見ながら宣言。すると裸の女が現れ脈絡もへったくれもない踊りを披露、そして去っていく(一人約10分の持ち時間)。これが1時間以上、永遠と続く。最後は闇の帝王たちは骸骨になり、朝を迎えカップル達はレスキュー隊に救出される。終わり。


全て見終わったあと、僕の酔いは完全に覚めていた。どうやらこの映画には即効の良い覚ましの効果があるようだ。落ち着いたあと、家から500メートル歩いた労力、レンタル料金100円、電気代、コーヒー代、とにかく全部返して欲しいと思った。この映画を見た人たちでクーデターを起こしたら国家転覆など余裕ではないだろうか。それくらいの怒りを買う映画である。なんてったってこの映画、ホラーの棚ではなくてコメディーにありましたからね。


なんだか悲しくなってきたので寝ることにした。布団の中でこの映画の良いところを上げようとしてみた。びっくりした。何も思い浮かばなかった。

死霊の盆踊り デラックス版 [DVD]

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