The Who/Live At Leeds
The Whoはちょうどいい位置にいるバンドだった。高校時代にビートルズ、ストーンズといったクラッシックロックを聴こうした時期(俗に言う高二病の始まりである)にThe Whoは僕の心の隙間にピタっとはまった。ビートルズはどんな優等生も普通の生徒も不良も一度は聴いていて「他人と違う音楽を聴くんだ」という捻くれた心情の自分にはあまり届かなかった。ストーンズは渋すぎて何が良いのかよく分からなかった(今はそんなことないけど)。
The Whoの何が良かったかというとまずそのバラバラのメンバーの個性である。ギターのピート・タウンゼントは腕をグワングワンと振りましてギターのコードを鳴らし(風車奏法)、ボーカルのロジャー・ダルトリーは暑苦しい顔でがなり立てる様に歌い、ドラムのキース・ムーンはとんでもなく手数の多いドラムをバカのように叩きまくり、その三人とは対照的にベースのジョン・エントウィッスルは涼しい顔をして複雑なベースラインを組み立てていた。
そして曲もハードロックのように長いギターソロもなく髪が長い演者もいない。ギターも破壊し、しまいにはドラムに爆竹を大量に仕掛けギターのピートを難聴にさせるといった、当時僕が好きだったパンクロックの要素を感じられ、60,70年代のバンドなのに古臭さを全く感じられなかった。青森の捻くれ高校生はThe WhoをThe ClashやRamonesと同列のバンドとして扱い、とりあえず「フーはパンクだから良い」という特待生のようなバンドになっていった。
この「Live At Leeds」はフーの1970年にリーズ大学で行ったライブを収録したもの。70年に発売されたオリジナル盤には6曲しか入っていないが、自分が持っているのは95年発売の25周年エディション盤。曲数も14曲に増えている。ちなみに2001年に発売されたデラックス盤は2枚組33曲というボリュームである。ディスク2にはロックバンド初のロックオペラアルバムとして有名の「トミー」の演奏が収録されている。最初からこういうふうに出してくれ、と世界中の誰もが思っただろう。
このライブアルバムは他のオリジナルアルバムよりも聴いていた。圧倒的に「熱量」が違うのだ。多分他の人にフーのおススメのアルバムを尋ねられたら、このライブ盤を薦めると思う。ライブ盤がファンじゃない人間にとってさほど興味を持てない代物だということは分かっている。分かっていてもこのアルバムを薦めてしまうことにフーのライブバンドとしての恐ろしさが伺える。
1965年のイギリスの若者たちを熱狂させた名曲「My Generation」も15分という長時間演奏され、メンバー同士の殺し合いのような緊張感溢れるグルーヴが伝わってくる。それなのにメンバー(主にピートとキース)と学生同士のやり取りも聞き取れ、しかもライナーノーツにその和訳までしっかりと載っているという、なんとも微笑ましい特徴もこのアルバムの魅力だったりするのだ。

- アーティスト: Who
- 出版社/メーカー: Mca
- 発売日: 2001/09/18
- メディア: CD
- 購入: 4人 クリック: 47回
- この商品を含むブログ (23件) を見る