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noise pop

生活

6.49Americans/Wonder(1979)

49Americans/Wonder

WONDER

WONDER

49アメリカンズはアメリカ人49人からなるバンドだ。僕らはメンバー間の音楽性の違いを受け入れて、本物のロックンロールを演奏する。僕らは同じドラマーを2回使わない。3曲以上演奏するのに3曲ごとにバンドのメンバーを変えるということだ。僕らが好きな色はブルーだ。(中略)ある種の人達にとって僕らの音楽は根本的に新し過ぎるのはよくわかっている。いいトランペットソロを聞くと僕らは幸せだ。僕らは踊ること、歌うことを支持する。今、僕らが好きな色はグリーンだ。

レコードを出すためには楽器が出来なきゃいけない。歌えなきゃいけない。曲を作れなくちゃいけない。それは至極当たり前のことで、何百年も前からそれは「当然のこと」として受け入れられてきた。そうでなければそれは音楽ではないから。売れないから。というか誰も聞こうと思わないから。

70年代の終わり。アンドリュー・ブレナーというアメリカ生まれのイギリス人少年がいた。彼は特に楽器ができるというわけではなかったが異常なまでの行動力があった。彼は友人達(当然ズブの素人)を巻き込みながら、楽器を取っ替え引っ替え、お世辞にも音楽と言えないような代物をどんどん生産していった。面白いことをや今まで誰もやっていないことに念頭に置きながら、更に友人のお母さんやご近所さん、なんかよく知らない人たちをも巻き込み、突然変異のカオスティック超天然アバンギャルド集団へと発展していく。当時のフリージャズシーンの変わり者たちもアンドリューの行動に興味を示しなぜか参加したことで、素人さん玄人さんごちゃ混ぜのますます混沌とした存在になっていく。

「おもちゃ箱のようなアルバム」とはよく言ったものだけどそれすら生ぬるい。多分このおもちゃ達は全部ブッ壊れている。おもちゃ箱というよりは、そこら辺のゴミ捨て場に転がってる木の棒と鍋の蓋。それをしっちゃかめっちゃかに叩きまくることで生まれる音だと思う。そこには「洗練」とか「綺麗」という言葉はなく、徹底的に原始的だ。だけど49Americansは必要最低限の音だけを武器に、どんなバンドでも最初に持っていた「演奏する楽しさ」を体現した、ある種偉大な集団なのだ。

バンドを続けていくとどんどん音が洗練されていきまとまりが出てくるが、この人達は最後までまとまることはなかった。だってメンバーが一堂に介することは最後までなかったんだから。というか同じドラマーは二度と使わないのだから。「次、○○さんどうぞ」って。病院の待合室じゃないんだから。

とりあえずこの集団は、天才であり馬鹿であり前衛的ですっとぼけ、恐ろしいポテンシャルを秘めているのにそれを発揮できないまま去り、それをゲラゲラ笑いながら学芸会の発表に向けての準備を進めて、それに飽きたら来年の学芸会のプランを練りだし、先生に怒られてムカついて外に出て遊びながら「真の芸術とはなにか」を考え、結局答えが出ないまますたこらさっさと家に帰る。そんな人達が作った今日の絵日記。