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生活

7.Benevento/Russo Duo /Play Pause Stop(2006)

Benevento/Russo Duo /Play Pause Stop

2013年は今までで一番音楽を聴いて買った1年だった。使えるお金が格段に増えたこともあるが、それ以上に情報に敏感になった。情報をキャッチすることにより「もっと稼がなくては…」というモチベーションに繋がる。欲しい音源をチェックするときは、これ以上ない幸せを感じることができるのだ。

そういう時はたいがいネット通販を利用するのだけど、レコード屋に行って自分の目で確かめながら物色するのもやめられない。今まで自分の頭の中に入っていなかったものが突然リストに入る瞬間。意識がフッと飛ぶ。金脈を探し出した気分になる。1000円以下でこんな気分になれるのだ。なんという安いトレジャーハンターだろうか。

Benevento/Russo Duoの「Play Pause Stop」、これも突然目に、そして耳から頭に入り込んできた1枚である。

Play Pause Stop

Play Pause Stop

「世界最小のオーケストラ」と評されるほど洗練されたバンド、Benevento/Russo Duo。その編成はオルガンのMarco Beneventoとドラム担当のJoe Russoの2人。2人の名前を合わせてBenevento/Russo Duo、そのまんまじゃねえかという声があちこちから飛んできそうだが、そんなことはお構いなしに2人は自分たちだけの王国をステージ上に築き上げてしまう。そこには格差などは存在せずに、お互いが対等に向かい合い音を鳴らし続ける。王様が2人いる国である。

1曲目の「Play Pause Stop」から、文字通り聴き手側を立ち尽くさせてしまうくらいダイナミックかつ繊細な音楽を鳴らす。インストバンドなのでボーカルは入っていないのだが、遠くの方からノスタルジーな匂いに乗って、大勢の子どもの笑い声が聞こえてきそうだ。それはこの時にやさしく、時に激しさを感じる繊細なドラムと、丸みを帯びた温かなオルガンが重なり合うことによって生み出される。ポストロック、エレクトロニカ好きも唸らせるであろう2人の確かな演奏力もその土台に乗り、ひとつひとつの音を丁寧に紡いでいく。

このアルバムは一つの小説であり、夢物語を感じることができる1枚な気がする。彼らの音楽に乗っかることで、僕らは物語の主人公になった気分になれるのだ。