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noise pop

生活

8.Starlight Mints/The Dream That Stuff Was Made Of(2000)

Starlight Mints/The Dream That Stuff Was Made Of

飲み会でもライブでもDJイベントでもなんでも終わったあとの喪失感が好きだ。誰もいなくなったガランとした空間に身を委ねて、少し前まではここであんな楽しいことがあったなんて嘘みたいだな、と思うのだ。小さい頃は飲み会なんてあるわけがなかったけど、学校の通学路を歩いててふとした拍子に後ろを振り返る。自分の歩いていた道を見て「数十秒前の自分はあそこを歩いていたのだな」と考えると不思議な気持ちになった。

そういう心地良い喪失感を体験できるのがStarlight Mintsというバンドである。

Dream That Stuff Was Made of (Bonus CD)

Dream That Stuff Was Made of (Bonus CD)

これはデビューアルバムで大学近くのレコード屋さんで中古で購入した。大体ジャケットを見れば「これは絶対好きだな」というのが分かるけど、付いていたPOP(紹介文)に「スウェーデンのFlaming Lips」と書いていた記憶がある。その時は「へえ、面白そうだな」と思い、ジャケットの良さも相まってすぐにレジに持っていった。だけどその後調べたら彼らはスウェーデンではなくオクラホマ出身、つまりFlaming Lipsと同郷なのである。一体どこでスウェーデンなんて単語が混じってしまったのか。まあ確かにスウェーデンっぽいジャケットだけど。

Flaming Lipsという世界規模の変態サイケポップバンドと同郷なのに、あえてそれに追随したようなバンドサウンド。なんというかとんでもない勇気である。絶対に比較されることが目に見えているからだ。しかし彼らはあくまでマイペースに自分たちの音を固めていった。ドリーミーでサイケデリック、そして肩の力がグッと抜けたコーラス。どこからどう見てもFlaming Lipsなのである。

しかし彼らはFlaming Lipsにはない「喪失感」があるバンドのように思える。それはあの小さい頃に体験した「さっきまであそこにいたんだ」という一種のノスタルジー感であり、またはパーティーやライブに行っても「絶対にそこに交われない」という虚無感や無気力感も兼ね備えているような気がする。「いえーい最高」と騒ぎ回る輪の中に入っていけない人間も確かにこの世にいる。その人間たちが感じるのは壮絶な絶望感ではなく「なんか居づらいな、ここ」という小さな小さな疎外感だ。Starlight mintsを聴いてるとそういう感情が思い出されてしまう。パーティーバンドのようでそうではない。「俺らもお前側の人間だよ」と言っているような気がするのだ。

これを買ったときは1曲目の「Submarine #3」と2曲目の「The Bandit」をめちゃくちゃ繰り返し聴いていた。心地よいダルさに身を任せ、2分程度で終わってしまうこの2曲を永遠と聴いていた。曲が終わった瞬間にあの時感じた喪失感が一気に襲いかかってくる。それをまた体験したいがために、僕は何回も何回も再生することを止めない。


当然だけど3曲目以降も小粒ぞろいの良曲オンパレードなので是非聴いてみてください。