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生活

人生の分岐点

こないだ佐藤君が「『1』と『4』って数字が好きなんですよね」ということを言っていた。手元には「14」と数字の書かれた靴箱の番号札が転がっていた。

「なに、ティーンエイジャーが好きなの」

「まあそれもあるんですけど」

14歳というと中学2年生である。14歳。僕はバカだった。バカの周りにはバカが集まる。自然の摂理だ。同じクラスにヤギタという友達がいた。バカだった。ついでに僕と同じテニス部だった。部活中に勝手に走り回って勝手にこけて耳から血を流していた。授業中に大学ノートの表紙を真っ黒に塗って「デスノート」を作り、女子に「気持ち悪い」と言われて結構本気で凹んでいた。バカだった。

とある冬の日。僕らは自転車に乗ってゲオに行った。僕のカバンの中には先日買ったばかりの「ポケットモンスタールビー」が入っていた。当時の僕からするとゲームボーイアドバンスの、それも先日発売されたばかりの超人気シリーズの最新作のソフトを持ってるという時点で大事件だ。完全に流行に乗っかった形である。

ゲオに行った帰り道。何故か牛丼をテイクアウトすることになった。レジに並んで会計をする。ふと窓の外を見るとヤギタが僕のカバンをゴソゴソ。なんだあいつは、勝手に俺のカバン漁りやがって。憤る僕をよそ目にヤギタの手元にはポケモンが握られていた。牛丼片手に慌てて外に飛び出す。

ポケモン返せよ」

「バッティングセンター行こうぜ」

会話文の合間に何行か抜けてるとしか思えないアホな会話をして、僕らはバッティングセンターに行った。その申し出に素直にノコノコ付いていく自分はどんだけ素直なんだろう。頭を撫でたくなる。ベンチに座って牛丼の並盛りを黙々と食べながらヤギタのバッティングを鑑賞した。両手じゃなくて片手で打っていた気がする。「バカだな」と笑いながら携帯で動画を撮影した。

その後。信じられない話だけど、僕の手元にポケモンは帰ってこなかった。風の噂によるとヤギタはどこかのゲームショップに売り飛ばして金だけ着服したらしい。でも別にどうでも良かった。だってこの人バカなんだから。その後1年くらい「ポケモン返せよ」と戻ってくるはずもないソフトをネタにヤギタをゆすりまくった。僕はもちろん、周りの人間もそのことは知っていたはずだ。でも誰もヤギタを責めない。むしろ「そんなところに置いておくミヤザキが悪い」という話にまで発展していた。みんなバカだ。

ちなみに大学進学後、東京に住むヤギタの家に泊まりに行ったことがある。その時も常人ではできない(しない)言動に惑わされまくったけど、長くなるので今回はここで。