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noise pop

生活

13.Toothpaste 2000/Fine,Cool,With Love,Best(1998)

大学二年生。初めて一人で東京に行った。

「俺って実は音楽の趣味がめちゃくちゃ悪いんじゃないのか」

薄々と感じていたことだったけど、サークルの会長という立場がその感情を更に加速することになった。別に今思えばしょうもない話なんだけれど、自分の好きな音楽のジャンルもよく分からず、とりあえず甲本ヒロトを神と崇めて崇拝し、それで満足していた。話し方や佇まいを真似してもその人にはなれない。なれないどころか近づけるわけもない。革ジャンを捨てることにした。

新宿駅に降り立ち、全く役に立たない携帯電話を頼りにたどり着いた場所はディスクユニオン。東京にはこんなもんがゴロゴロしてるのか。さすが情報過多都市・東京である。伊達にオリンピックやってねえ。

自分にとって新しい音楽を探すためにここに来たのだけど、情報過多都市なのでどこに何があるかも分からない。僕にとってのディスクユニオンは、ブックオフなのだけどそれとは比べ物にならないくらいの情報・音・空気・人。様々なものが交錯する空間に、僕は頭が痛くなってきた。フラフラしながら辿り着いたのが安価のギターポップコーナー。そこで300円くらいで買ったのが今回の主役である。相変わらず前置きが長い。モテない。嫌われる。

Toothpaste 2000/Fine,Cool,With Love,Best

Fine Cool With Love Best

Fine Cool With Love Best

買ってきたジャケットを見ると、お世辞にも若いとは思えないおじさんとおばさんのツーショットプリクラ。こっちを馬鹿にしてるのか。しかしいざ聴いてみると、今まで聴いていた音楽とは圧倒的に何かが違った。メロディーセンスが素晴らしいとか、アコギの澄み切った音色だとか、モコモコした音質だとか、そういう細かな御託を全て丸呑みして、この23曲という明らかに曲数が多いアルバムに全ての良さを閉じ込めてる。ああ、情報過多。だけどこのアルバムを聴いて気分が高揚することはあっても頭が痛くなることはまずない。

彼らは「インディーポップ」と呼ばれるジャンルにカテゴライズされているバンドだった。元々Cowboy&Spain Girlというデュオにドラマーが加入したことによりバンド名も変えたらしい。usインディーポップシーンでは結構古参的な存在らしく、メンバーもプリクラの写真通り、比較的高齢だということだ。ボーカルも二人がそれぞれ曲ごとに担当しているのだけど、奇数曲を女性、偶数曲を男性といった具合に収録されてるのも面白いと思った。

60年代を思わせる雰囲気に眩しいくらいキラキラしているメロディーが組み合わさり、僕の脳みそを春風が刺激する。このアルバムは、多分東京旅行で一番安い買い物だったけど、一番涙腺を刺激するアルバムでもあった。これが僕の「インディーポップ」初体験のアルバムである。


とりあえず今回は「情報過多」という言葉を使いたかった。こないだ「ジョウホウタカ」って使って恥かいたから。