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noise pop

生活

16.GELLERS/GELLERS(2007)

GELLERS/GELLERS

GELLERS

GELLERS

「新説 ザ・ワールド・イズ・マイン」という新井英樹の漫画の帯に、RIP SLYMERYO-Zが「いくつになっても男の子は爆発と怪獣が大好きなんです」という推薦文を寄せていた。一般的に男性というのは女性に比べて「子供っぽい」「幼い」「単純」というイメージがある。いくつになっても「うわ、これカッケー!」という潜在意識が無意識のうちに働いているように思える。まあだけど歳を重ねていくと、そういうものを隠すことが上手くなってきてしまい、素直に自分の感情を爆発させることに戸惑いを覚えていくような気がする。

本当は声を大にして言いたい「これカッコよくね?」という言葉。でも分別が着いた他人から「あいつら馬鹿か」という冷たい言葉を浴びせられるかもしれない。そういう心のモヤモヤを一気に吹き飛ばしてくれるのは、個人的に革ジャン着たパンクじゃなくて、そこら辺を普通に歩いていそうな兄ちゃんがやってる、何だか得体の知れない音楽だったりする。つまりゲラーズの音楽だ。

日本が世界に誇るシンガー、トクマルシューゴが在籍しているバンド・ゲラーズ。トクマルシューゴのライブは今まで二回見たことがある。技術的にも音楽的にも洗練され、澄み切った空にシャボン玉が空高く上がって、どこまでもそれを追い続けていってしまうような開放感と心地よさが同居していた。

しかしゲラーズというバンドは、開放感や心地よさという言葉以前に、トクマルシューゴがバンドを引っ張っているという印象はほぼ皆無。小さい頃からの幼馴染5人が、それこそ崩壊寸前の不安定な足場の上で、好き勝手な演奏をドンガラガッシャンと奏でている。統制できているのかできていないのか、それともあえてしていないのか。そんなこと知ったこっちゃないけど、彼らは演奏中に「これヤバくね?カッコよくね?」という中学二年生的思考がこれでもかというくらい先行している。その安心して見てられない恐怖感がたまらなく気持ちいい。

空虚な切なさの中に、突然血管がぶち切れそうなそうな叫びが響き渡るM-1の「9teeth Picabia」や、バイオリンの音色が曲を一層際立たせるM-4の「M」。だけど個人的にM-2「Buscape」の

「コードはCですか? Bですか? Gですか?」
「なんだかわかんねぇけど とりあえず弾いてみろよ MotherFucker!!!」

という最高に頭が悪そうな歌詞に笑いながら感動してしまった。さすがに今はこんなこと思わなくなってしまったけど、誰しもが通ってきたであろう思春期の「俺はなんだってできる」という、全く根拠もへったくれもないような感情が思い出されてしまい、恥ずかしくもあり懐かしくもある。高校の時に楽器も特にやってなくて、学園祭のバンド演奏を二階の隅っこから、嫉妬や憧れの眼差しで見ていた僕の後ろでゲラーズが笑っている。

笑えない日々を笑い飛ばすのさ
下らないことに全てをかけるのさ
光と影の季節を繰り返して
君の物語のクシャクシャの最後のページ