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noise pop

生活

19.BS2000/Simply Mortified(2001)

BS2000/Simply Mortified

シンプリー・モティファイド

シンプリー・モティファイド

数年前の夏休み。うだるような暑さ。地元に帰省していた僕は、いつも以上に頭が働いていなかった。これ以上頭が働かないと立件されそうな気がしたので、近所へ飛び出した。行きたくなかった。

ゲオの古着コーナーをテキトーに物色していると、1枚の超イカしたTシャツに出会う。それはビースティーボーイズの3人がおどけたポーズをとっている写真がプリントされたもので、値段も500円だったこともあり購入した。高校によくいた、ニルヴァーナとかストーンズのベロTシャツ着て「俺とお前は違うんだぜ、ロック!」とか言ってそうな頭が極限まで悪い奴に限って、そこまでそのバンド好きじゃない、という一種の法則。俺もそこまでビースティーボーイズ好きじゃないけどな、「Check Your Head」と「Root Down」は確か持ってたけど、通しで2回くらいしか聴いてなかったな、ていうかあのCD中古で200円で買ったらひび割れ酷かったよ、ロック。自分が一番なりたくない奴になってしまった、という罪悪感があったけど、すぐにそんなこと忘れて、夏のTシャツローテーションにビースティーボーイズは無事に入った。

その数年後の夏。うだるような暑さ。やりたくもない仕事で営業車を走らせていた僕は、ブックオフに涼みに行った。死にそうだった。

クタクタのスーツを着て、いつも通り250円コーナーをチェックしていると、1枚の頭が悪そうなジャケットが見えた。BS2000。ビースティーのアドロックがやっていた別ユニットだということを知ったのは、もちろん買ったあと。もう何も考えたくなかったし、この頭が悪そうなジャケットの何かに引き込まれ、レジに持っていった。

全編を支配しているのはシンセサイザー、ではなくオルガン。そのためチープな曲が、3割増でますますチープに聴こえる。ていうかオルガンうるせえ。そのけたたましい脱力感のヒップホップのリズムに乗っかるのは鮮やかな天然色。このテキトー具合、というかセンスだけでやってます感は、ある種の才能だと思った。何もしたくないし、何も考えたくない。このまま家に帰ってアイスモナカとか食べていたい。いや、もうそれすらもしたくない。何かに身を委ねるだけの生活がしたい。でもBS2000の曲が流れてきたら、あまりにもガチャガチャした喧騒と、同じような音色が続く様にいやいやして「わかったよ、やりますやります」と言ってしまいそうな気がする。

ちなみにビースティーのTシャツは洗濯槽に放り込んでおいたらカビが生えたので捨てた。