noise pop

生活

21.Tony Molina/Dissed And Dismissed(2014)

Tony Molina/Dissed And Dismissed

Dissed & Dismissed [Analog]

Dissed & Dismissed [Analog]

長い曲というのが苦手だ。昔から苦手だった。集中力がないからだった。個人的な話だけど3分超えると「な、なげえ…」と感じるようになってしまった。年々短くなってきているのだ。しょうもない男だな、と自分でも思う。3分以内で終わるジャンルといえば甘いインディーポップや男臭いパンク・ハードコアなのだろうか。どっちも好きだけど、疲れてるときや何もしたくないとき(1年のうち300日くらい)にはあまり聴きたくない。その中間辺りにストンと落ちてくるバンド、それがTony Molinaなのだ。

初めて聴いた時の感想は「やる気が全くない初期weezer」だった。曲が短すぎる。12曲のアルバムトータルが13分くらいしかない。一曲目の「Nowhere to Go」、48秒しかなかった。すごいものを見つけたかもしれないと思った。

「良い曲というのは3秒聞いて分かる」

そんなことを昔言っていたのは誰だったろうか。俺だった。
超絶アホなことを言ってるような気がするけど、なんだかんだやっぱりそう思う。Wilcoの「I Must Be High」を聴いたとき、冒頭のドラムの音の響きだけ聞いて「ああ、多分これは良い曲なんだろうな」と、なんだか確信したのだ。

この音源の一曲目「Nowhere to Go」の最初の3秒間のフィードバック。僕はそこを聴いて、根拠もへったくれもないがこれは良い、絶対に良いと確信した。曲自体は大した盛り上がりもないまま、Aメロっぽいものが二回続き、間奏っぽいギターソロが入り、そしてそのまま静かに終わった。完璧だ。これが今の俺に必要なんだ!と一人で地下鉄の中で盛り上がっていた。

しかし潔いというか、やってて不安にならないのだろうか、この人たち。これだけ無駄を削ぎ落とした曲だと「サビも作ったほうがいいかも…」と考えてしまいがちだ。だけどその無駄な装飾を全てとっぱらい、己の信じるまま、自分の良いと思えるものを演奏する…、といえば格好がよろしいが、多分そんなことは微塵も考えていないであろうところが、このバンドの好きな部分だったりする。多分この人たちも集中力がないのだ。

地下鉄は順調に仙台まで運行し、全ての曲が終わった瞬間、仙台駅の扉が開いた。13分。全てを理解するには十分な時間だった。