読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

noise pop

生活

22.Anybody Can Go/Pavement(1999)

Anybody Can Go/Pavement

ヤフオクで落としたPAVEMENTのライブブート盤が届いた。99年のBBCセッションとイギリスのグラストンベリーフェスに出演したときの音源が収録されている。99年というとバンドも終わりに近づき、何故かメンバーが全米全土にバラバラに住んでいたこともあり、互いのすれ違いから相当ヘビーな関係になっていた頃なのである。

なんでこれを買ったかというと、「Carrot Rope」のライブ音源が収録されているからなのであった。
99年。Pavementは「Terror Twilight」というラストアルバムを発売。それまでのローファイ(粗悪、クソ、という意)なサウンドに手を振り、スティーブン・マルクマスのクルクルパーな頭の中で構成された、一筋縄では行かないながらも、円熟した曲が目白押しなアルバムなのである。それはまるでクソからダイヤモンドダストがキラキラと輝いているよう。「Carrot Rope」はアルバムの最後に収録された曲なのだが、ラストアルバムの最後を飾るとは思えないくらい、お気楽で脱臼しそうな演奏、あまりにもゆるすぎるMV。しかしどことなく切なさがこみ上げてくる。

Pavementのすごいところは、センスだけで突っ走ってる感が尋常じゃない部分だと思う。完全に憶測でものを言うけど、スティーブン・マルクマスは、家でギターとかめっちゃ練習してそうだけど、それを全くステージで披露しない(おそらく他のメンバーは練習すらしてなさそう)。ステージは自分たちの向上した技術のお披露目の場とは全く考えず、何も考えてなさそうな馬鹿なメンバーと共に何が起こるか分からない緊張感や、一瞬のひらめき、突拍子もないアレンジ(でもない)、意味不明な叫び、それら全てをひっくるめた「事件性」を楽しんでいるように感じた。

このブート盤。肝心の演奏だけど、解散末期とは思えないくらいひどい。ひどすぎる。特に「Range Life」の間奏に入る前なんて、全ての楽器のリズムが崩壊して、ボブのずれずれのタンバリンが一際大きく鳴り響く。でも僕も含めて、これを聴いて怒りを覚える人間なんていない。みんな許してしまうのだ。彼らがどんなひどい演奏しようが、But I Don't Care,I Care!(そんなことはどうでもいい!)という気持ちになってしまう。

彼らのライブはたった一度でも同じような風景は存在しなかったはずだ、多分。その一瞬一瞬をひねくれ野郎のマルクマスは歌い方を変えたりギターを放ってみたりして、違う色を着けていた。その染められた色に向かってもいないのに、超馬鹿なメンバー達は、フラフラとなんとなく同じ方向に行ってしまうものだから、奇跡的なバランスで演奏は成り立っていた。「バカとハサミは使いよう」とはよく言ったものだ。

マルクマスもギター鳴らなくなると焦るんだということが分かって感動した。